Part 2 ガーナで起こす「カカオ革命」、ガーナのチョコレート長・田口愛さんにインタビュー!

インタビュー第5弾Part2では、Part1に引き続き、ガーナのカカオ産業改革とチョコレートで日本とガーナを繋ぐ活動に取り組むアクティビスト、田口愛さんにお話を伺いました。
Part1では、ガーナのカカオ産業に5つの面から変革をもたらす取り組み「カカオ革命」について、取り組みを始めたきっかけ、取り組みの全容、取り組みへの思いをご紹介しました。
今週のPart2では、Mpraeso(エンプレーソ)合同会社設立の経緯や、起業の経緯、活動のやりがいなどについて紹介していきます。

Q1. Mpraeso合同会社設立のこと、Mpraeso(エンプレーソ)という社名の由来を教えてください。

2020年6月にMpraeso合同会社を立ち上げて、「カカオ革命」にとどまらず、より一層活動を広げていこうとしています。この会社は、私が工場も建てて生活の拠点としているMpraeso Amanfrom(エンプレーソアマンフロム)という村にある、Mpraeso山にちなんで命名しました。この山は村の人たちがとても大切にしている存在です。村の人たちにとっても深い意味を持つ名前をつけたくて、Mpraesoという社名にしました。

Q2. どういう経緯で起業という形になったのですか?

自分のやりたいことを他の誰もやっていなかったからです。現地で活動を始めた当初はガーナを変えようとは考えておらず、ただ自分が好きなことで相手にも喜んでもらえることを日々考えて行動していました。でも、ソーシャルビジネスの形で積極的に活動していくためには、会社が必要になったんです。そこから起業という形になりました。それまでは、自分が個人としてやりたいことをやりたい時にやっていましたが、今では好きでやってきたことに多くの協力者が集まり、一つの形になったことに大きな達成感を感じています。

Q3. どんな時にやりがいを感じますか?

1つ目は、カカオ農家さんがチョコレートの味に感動しているときです。ガーナでもチョコレートのワークショップをしているのですが、私が渡航したばかりの頃は、カカオがチョコレートになることすら知らないで栽培をしている農家さんもたくさんいらっしゃいました。カカオは、「金のなる木」、「育てたら外国人がたくさん買ってくれる作物」のように捉えられていました。また、現地の人々は、1日100円くらいの食費で毎日生活していますが、チョコレートは板チョコ1枚で300円ほどします。チョコレートは現地の人々の数日間の食費に相当する高級食品のため、農家さんもカカオ農園を営んでいるにもかかわらず、チョコレートを口にしたことがありませんでした。ワークショップを開催すると、多くの現地の農家さんは感動し、中には「今まで食べたものの中で一番美味しい」と言った方もいました。自分の育てているものがどれだけ美味しい食べ物になるのかを実感することで、カカオ農家さんたちは仕事のモチベーションと誇りを持てるようになりました。

2つ目は、現地の人々の可能性が広がっていることを実感したときです。村でMpraeso基金のシステムを作ったのをきっかけに、村の人たちはどのようなことにお金が必要なんだろう?ということを常に考えてきました。そうやって村の中で貯金の使い道などを話し合い、村全体でみんながより一層お互いのことを思いやりながら生活できるようになったと思います。そんな時に、可能性が広がってきたことを実感できます。

Q4. コロナの影響はありましたか?

当初、2月のバレンタインシーズンには日本でチョコレート作りのワークショップの開催、3月には学生とともにガーナに行くツアーや飲食店にガーナ産のカカオを卸す事業を計画していました。こういった活動から自社ブランドの立ち上げも考えていましたが、コロナの影響でこれらの活動ができなくなってしまい、私自身もガーナから帰国せざるを得なくなってしまいました。今は、いつガーナに帰れるのかわからない状態です。私が感染源になってしまう可能性もあるので…。

でもその反面、良い面もありました。活動の中心地であったガーナから帰国したことで、日本でやりたいことにも全力を注ぐことができています。今は、カカオコンサルタントとして企業と連携したり、SNS強化やクラウドファンディングなどをしたりしています。

Q5. 活動したことでわかったこと、気がついたこと、ぜひICU生に知ってほしいことは何ですか?

1つ目はインプットとアウトプットのサイクルの重要性です。大学で論文や本を読んでインプットすることも大切だけど、なるべく早い段階で行動に移すこと(アウトプット)も大切だなって思います。以前の私は、アフリカはかわいそうだから何かしなくちゃと思っていたけど、現地に行ってその視点が大きく変わりました。そして今行われている支援のあり方についても見直すことができました。大量の服や小麦粉をアフリカに寄付しても、それは現地の人々の仕事を奪い産業を壊すリスクがあります。そういうことを現地で目の当たりにしたことで、日本帰国後にはソーシャルビジネスやフェアトレードなど、何をインプットすべきかの焦点を定めることができました。そして同時に、一回きりで終わる支援ではなくて循環するシステムを作る重要性にも気づき、それが今の活動に大きく繋がっています。ずっといると課題が山積みでいっぱいいっぱいになってしまうことがあるけれども、そういう時こそ開発学で学んだリサーチの手法とかを使って、何が課題なのか、何をすべきか見定めることができるようになっていると思います。そしてこういったインプットとアウトプットのサイクルを繰り返すたびに自分自身の成長を感じられます。

(上写真) 現地の村で青空教室を開き、子どもたちと一緒に世界地図を描いた時の田口愛さん。ストライキなどの影響で学校に行けない子どもたちのために教育の機会を作るなど、あらゆる形で現地に貢献している。「様々な国について子どもたちに知ってもらうことで、ガーナの豊かな自然の破壊や搾取をする海外企業などに惑わされ、利用されてしまうリスクを減らしたい。」と話す。

2つ目は世界全体でもっといい星を目指して行こうということです。ガーナって日本の裏側で、そこで起きている問題が自分と関係している、って想像はしづらいけど、日本にいても、消費者として間接的にこのシステムに関わってしまっているという意識を、より多くの人々に持ってほしいと思っています。大きな変化って起こりづらいけど、たった一人の小さな行動の変化でも、現地の人々の生活に影響を与える。グローバル化で、物や情報が行き交うようになったけど、まだまだ人同士の心って離れたままだな、と感じています。そんな中で私は、日本でもガーナについて責任を持って発信していきたいと思っています。世界全体でもっといい星を目指して行こうよ、っていう方向に向かって行けたらいいな、と日々思っています。こういったことも私が実際に現地に足を運んだから気づくことができました。

Q6.これからやっていきたいこと、挑戦してみたいことなどがあれば教えてください!

ガーナのチョコレート工場を、現地の人々に愛される、国のシンボルのようにしていきたいです。また、SNSやYouTubeを使ってガーナのカカオやチョコレートの魅力を発信する活動を通して、「生産者のことを考えながら食べよう」というメッセージを世界中の人々に届けたいです。

クラウドファンディング

この記事でご紹介した「カカオ革命」に向けて、7月からクラウドファンディングを行う予定です!
「クラウドファンディングで支援してくださった方に向けて、リターンのチョコレートを作り、お届けします。これを通じて、皆さんがガーナについて考えるきっかけを作ることができたら嬉しいです。」
クラウドファンディングについてはこちら!

TICAD 開会式のメッセージ

https://youtu.be/XhkU2hf250U

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