学生だからこそ政治に声をあげる―入管問題に取り組むID25宮島ヨハナさんにインタビュー|Part2
インタビュー第22弾 Part2では、前回に引き続き、入管問題に取り組まれているID25の宮島ヨハナさんにお話を伺いました。
Part1では、宮島さんの現在の活動や、日本で起きている入管問題について詳しくお話していただきました。
今回のPart2では、始めた時や活動を続けていく上での心境、入管問題を含む社会問題へのアプローチの仕方についてお聞きしました。
宮島さんの活動とキリスト教の関係などについてもお聞きしているので、ぜひお読みください!
Q1. 始めた時はどんな気分でしたか?
初めてアクションを起こした時は、正直不安な気持ちも大きかったです。しかし、黒人の差別反対運動に取り組んでいたアクティビストの女性、ローザ・パークスさんの “You must never be fearful about what you are doing when it is right.” (「正しいことをしているのなら、決して恐れてはいけません」)という名言に勇気をもらい、周りの先生や家族にも背中を押してもらい、このアクションを起こすことができました。
Q2.「初めてアクションを起こした」というのは、本当に一人で、周りのサポートなしで始められたということですか。
いえ、周りのサポートがあったからこそできたことだと思っています。そもそもアクションを企画する前に、何十年も前からこの問題に取り組まれているNPOの移住者と連帯するネットワーク(移住連)とFREEUSHIKUというグループが共催しているシットインに参加しました。時間帯が14、15時だったので、学校を早退しなくてはいけなかったんです。先生に言ってみたら、早退していいよという風にすんなり言ってもらえて。そういう風に先生方からのサポートもあって、すごく背中を押してもらえたということもありました。そのアクションに参加した際、大学の卒論でこの問題に取り組んでいる上智大学の方と意気投合しました。その人と一緒に、移住連の方に私個人でアクションを主催したいけど、15時とかの時間帯だと学生の方も参加しづらいので、夕方か夜の時間帯にしたいですと伝えたら、「協力するよ」と言ってもらいました。企画自体は私がしたんですけど、警察の対応だったり、個人情報の扱いの指摘だったりは移住連の方にすごく助けられました。背中を押してくれた先生方や、一緒にアクションに来てくれたお父さんなど、親や周りのサポートがなかったら多分出来なかったとは思います。
Q3. 地道な活動を続ける中で、大変だなって思ったりしんどいなって思ってしまうことはありましたか。
この問題ってすごく深刻な問題なので、現状をどう変えればいいんだろうとか、なんで日本ではこの時代なのにまだこんなことが起こっていて、そのことを政府や入管が対応しないで見過ごしているのかとか、幻滅しそうになることもあります。でも、そういう中でも、周りの一緒に活動しているメンバーだったり、何年も支援を続けてきた支援団体、弁護士、国会議員、一緒に活動している人と話していると、この問題と向き合っているのって私だけじゃないし、実際に当事者の方とも話していると一緒に向き合っていけばいつかは変わるのだろうという風に希望も見えてきます。そういう意味でも勇気づけられる、インスパイアされることが多くあります。やっぱり幻滅されるよりかはインスパイアされる方が大きいので、続けられているのかなって思います。
Q4. 実際に問題に取り組まれている方以外の人が、入管問題に興味や関心をもってくれたとか、行動を起こしてくれたと具体的に実感したことはありますか。
すごくあります。ICUに来ると友達や初対面の人にも、#JusticeforWishma見たよ、アクションとかあったら一緒に参加したい、難民問題に興味があるからIRISに入りたいと言ってもらえます。最近では、入管問題が大手のメディアでも取り上げられる問題になってきたので、周りの認知度もあがっているように感じてます。今までだったら、ウィシュマさんのことについて知ってる?とか入管問題って何か知ってる?と聞くと、それ何?という反応が多かったのですが、最近はウィシュマさんについて聞いたことがある方も多いので、周りの反応が変わってきてるなと感じます。
Q5. ハッシュタグキャンペーンやSNSは手軽に参加できるのではないかとおっしゃっていましたが、声をあげるプラットフォームは多いし勉強したくても、一歩踏み出せない、参加することをためらってしまうという人もいると思います。そういう方に伝えたいことはありますか。
私もその立場にいたのですごくわかりますし、周りの反応とか、自分の行動に反対する人から何をされるかわからないとか、色々なことを考えてしまうと思います。始めた時の話でもあったように、私がアクションで怖い気持ちがあったときにも、ローザ・パークスさんの言葉に何度もインスパイアされてきました。正しいことをしているなら、周りにどう思われたって怖がることもないですし、最終的にはその反対している人にも何か影響を与えるかもしれない、この世界・社会がより良い場所になるかもしれないと思うと行動する勇気が出てくるんです。難民や移民は、在留資格がないと選挙権もないですし、政治にも声を届ける方法がなくなってしまいます。有権者としても、ちょっとしたハッシュタグキャンペーンや自分のアクションで助けられる人がいるかもしれない、と考えれば、やらないよりやったほうがいいと思います。怖いけれど、一人がアクションを起こしたら周りもアクションを起こしやすくなって、Chain Reaction (連鎖反応) のように広がっていくと思います。一人じゃないって最終的には気づかされると思うので、勇気がいると思うけれど最初の一歩を取ってみてほしいです。
Q6. 入管問題は複雑でどこから勉強して知ればいいのかと悩む方に、入管問題についてまずはここを知ってほしい、勉強してほしい、ということはありますか?
入管問題は、長期収容のことや難民認定制度のことも含めて深刻な問題です。でも個人的には、入管が、第三者機関や裁判などのチェックも受けずに、難民認定や入管に収容する人の選定をはじめ、全て行っていることが問題だと思います。解決策としては、国際法や専門知識のある第三者機関が難民認定やチェックを行うことによって、より人権に配慮があるシステムに変えることだと思います。弁護士や専門家の方によると、入管法は部分的に変えるのではなく、抜本的に変えなくてはいけない法律と言っています。
この問題にはレイヤーがたくさんあるので、分かりづらい部分も多いと思いますが、調べる際は大手の新聞社など、信頼性のある資料に当たってほしいです。私は、高校の卒業論文を書くにあたって弁護士の方にインタビューをして、Google Scholarでリサーチを行っていました。他にも、NHKの在留資格のない子どもに関するドキュメンタリーもおすすめです。私にとってすごく勉強になりました。この問題にはレイヤーがたくさんあって、知れば知るほど酷いと気づかされます。なので、少し知っただけで満足せずに、常に問題について探求してほしいですね。
Q7. 宮島さんはクリスチャンですが、入管問題に取り組む上でキリスト教が影響していることはありますか?
クリスチャンでなかったらこのアクションをやってないだろうなって思うほど、私のクリスチャンとしてのアイデンティティもすごく影響してると思っています。クリスチャンとして大事にしている言葉が、「神様を愛し、隣人を自分のように愛しなさい。」という言葉です。隣人は日本人だけじゃなくて、多様なバックグラウンドのある一人一人だと思います。そういう意味でも、難民や移民の方を自分のように愛するということも大事だと思っています。もう一つ心に残っている聖句は、「最も小さきものにしたことは、私にしてくれたことである。」というイエス様がいった言葉です。これは、牢屋にいる人や、在留資格のない外国人、ホームレスの方のように弱い立場にいる人にしたことは、イエス様によってしたことという意味です。だから、クリスチャンとして、そういう弱い立場にいる人に対して愛をもって接するということをすごく自分は大事にしていて、一番の原動力にもなってます。この問題に関わる上でも、すごく不安な時とか、先が見えない時もあったのですが、そういう時もいつも祈り、祈りや聖句に力づけられることも多かったです。なので、クリスチャンとしてのアイデンティティもあったからこそ、できたこととも言えると思います。
Q8. 活動したことでわかったことや気がついたこと、ぜひICU生に知ってほしいことはありますか?
活動して分かったことは、選挙権を持つマジョリティーとして、声をあげるということに意味があるということです。SNSだったり、選挙だったり、私たちには声を上げるプラットフォームがたくさんあります。それらのプラットフォームや機会を通し、社会問題に対して声をあげることは、誰も取り残されない社会、平和な世界に近づける一歩なのではないかと思います。
Q9. これから社会に訴えたいこと、伝えたいことはなんですか?
入管法「改正」案は廃案となりましたが、現在の入管は、ウィシュマさんを見殺しにした入管のままです。今後同じようなことが起こらないためにも、ビデオの全面開示による真相究明と再発防止の徹底を求めます。私たち一人一人には、声があります。どうかその声を使い、今この社会で行われている不正義に対して立ち向かう一歩を一緒に踏み出しましょう。
Q10. これからやっていきたいこと、挑戦してみたいことなどがあれば、教えてください!
ICUでIRIS (ICU Refugee and Immigrant Solidarity)という難民・移民支援サークルを始めたので、もし興味があれば、ぜひ私または、24エイプリルの小嶋ニコラスさんに声をかけてください。このサークルでは、入管施設での収容者との面会、日本に住む難民や移民のための食糧支援や日本語教室だけでなく、国際基準に沿った入管法の改正を求めるなど、様々な活動を予定しております。最後に、今後とも、ウィシュマさんの動画の全面開示による真相究明、そして再発防止の徹底を求めていきたいです。
[宮島ヨハナさんのSNSアカウント]
Instagram: @yohanamiyajima
Twitter: @yohana16137198
宮島さんの記事をご覧くださりありがとうございました!
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