バレエ愛を原動力に日本を真のバレエ大国へ!Wake Up Point Shoesさんにインタビュー!


インタビュー第33弾では、Wake Up Point Shoesという活動を行っている望月碧さんと鈴木歌恋さんにお話を伺いました。

望月さんはICUのID26、鈴木さんはSFC生で、大学の壁を超えて活動されています。
お二人のバレエ愛と、バレエ界が抱える課題などについて、熱く語っていただきました。

ぜひお読みください!


Q1. Wake Up Pointe Shoesさんはどのような活動をされていますか?

Wake Up Point Shoesは、「2050年、バレエ愛で繋がった若者が、多分野で活躍し、日本を真のバレエ大国に変革する」をモットーに活動しています。この実現のために、バレエ経験のある学生コミュニティを作ったり、イベント開催をしたりしています。

バレエ界の労働環境や賃金の課題はダンサー内での問題として捉えられることが多いですが、バレエ愛を持つ人たちが各々が還元できるようなコミュニティを作りたいと考えています。バレエを踊るサークルや団体はあるが、社会的視点から分析するようなコミュニティはあまりないため、学生を中心とした活動をしています。

Q2. 具体的にどのような活動なのですか?

私たちは主に5つの活動をしています。

①イベント開催

毎月「バレエ×私/社会」をテーマに、バレエ経験のある社会人の方(弁護士や作家など)を招きイベントを開催しています。バレエを続けていても、高校・大学受験でバレエから離れてしまう学生を見て、「勿体無い」と思い、イベントを通じてバレエが持つ自分や社会への影響を議論する場を設けたいと考えました。

②取材活動

これはプロのバレエダンサーになりたい人向けの活動で、プロバレエ界の実態を学ぶために、ダンサーを主に取材しています。過去には、飯島望未さんやウクライナ戦争の影響を受けたバレエ留学生の鈴木希々花さんにインタビューさせて頂きました。今後はバレエ経験者にもインタビューをしたいと考えています。

③学習報告会(輪読会)

学習報告会はバレエと「学問」を繋げるべく、指定図書を決めて読んでくる活動です。メンバーの碧(あおい)と歌恋(かれん)は別の大学で異なる分野を学んでいるため、それぞれの興味や視点を通して議論しています。

④バレエ鑑賞会

今までの活動はバレエ経験者に焦点を当てた活動ですが、バレエ鑑賞会はバレエを見たことがない大学生を招集し、解説兼実際に観に行く活動です。これまでは一度につき2-3人と小規模でしたが、7月は東大生を中心に集めた大規模な企画をします。バレエを鑑賞する前後に公演の社会背景などを解説し、作品がより深く理解できるようにしています。

⑤インスタライブ・発信活動

インスタグラムでは、投稿やライブ配信などで私たちの活動を発信しています。

Q3. いつからその活動を始められたのですか?また、活動を始めたきっかけは何ですか?

高校2年の冬休み頃(2021年)にJacobs Teen Innovation Challengeというビジネスコンテストに参加し、バレエ×環境問題のテーマで、トゥシューズを大量に消費・廃棄するのを防ぎ、循環するというアイデアを提出したことがきっかけです。学校に募集がかかったコンテストで、たまたま集まったメンバーが全員「踊り」に深く関わってきた共通点があり、そこに何らかの問題意識を持っていました。

Wake Up Pointe Shoesという団体名はこの大会で考案したプロジェクトの名前が由来しています。

私たちの始まりについてはこのnoteの記事で詳しくまとめています。大学入学の手前で、碧と歌恋の2人の議論などを形にしたいと思い、Wake Up Pointe Shoesとして活動を初めました。

Q4 始めた時はどんな気分でしたか?

たまたま集まったチームのメンバーの共通点がバレエで、すごく身近なところに社会問題があるということに驚きました。バレエは芸術なので、とても美しいものと思われていますが、多くの問題を抱えているというところに矛盾があるなと感じています。私たちはバレエが大好きなので、アイデアがどんどん思い浮かんできます。もっとこうしたい、よりよくしたいという前向きな気持ちがとても強いので、そのアイデアを実現するために、2人で日々疾走しています。始めた時の気持ちは今でも変わっていないと思います。

Q5. どんな時にやりがいを感じますか?

望月さん:インタビューを積極的に行っていた時期は、「とても応援しています」「これは本当に問題だと思っているので、積極的に関わっていきたいと思います」など、前向きなメッセージをくださる方が沢山いらして、誰かに支えてもらっていると実感する時にやりがいを感じます。

鈴木さん:最近はイベントを開催しているのですが、同じ世代でバレエに愛を持っている人が沢山いるということに気付けたのがとても嬉しいです。バレエに熱い思いを持っているからこそ、ゲストスピーカーの方のお話を聞いて、号泣している方もいて、そういう方に会った時には、もしかしたらこういう活動を続けていくことで、同じ世代で共感してくれる人がもっといるかもしれないと思ったり、そういう人たちが対話する場所がないからこそ、私たちがハブになれるかもしれないと思ったり、そういったことがやりがいかなと感じます。

Q6. 活動したことでわかったこと、気がついたこと、ぜひICU生に知ってほしいこと。また、ご自身が活動する分野についてのICU生におすすめの本や映画、作品がありましたら、教えてください。

望月さん:ICU生は比較的バレエをやっていた、やっているという人が多いイメージがあります。大学生活と両立させて頑張っている人もいるし、今は勉強に集中したいから辞めちゃったとか、先生とゴタゴタしてや辞めた、友達と合わなくて辞めたなど、人によって色んなバレエの像があると思うのですが、その自分の中のバレエは、結局のところ基盤とか軸とか、自分の大切なものの中の一部なのかなと思っています。だから、心の中にバレエがあるということを大切にしてほしいと思っています。また、自分の夢がバレエダンサーではなくても、インスタグラムでバレエをみるとか、時々舞台を観に行くことを大事にしてほしいと思います。

私のお気に入りのバレエは、2020年の3月くらいに観たパリ・オペラ座のオネーギンです。ストーリーと主人公の心の動きが観客にすごく伝わってきて、私も周りの人も号泣していて。こんなバレエってあるんだと思いました。それまではクラシックの白鳥の湖とかくるみ割り人形とかばかり観てきたのですが、オネーギンはモダンな感じで、色んな人の心を動かす作品だと思います。あとは、私が好きなダンサーは飯島望未さんなので、彼女のロミオとジュリエットもとても好きです。ぜひ観に行ってください。

鈴木さん:SFCって自分が好きなことに向き合って突き進んでいる人って結構沢山いるのですが、そういうエネルギーってすごく強いなと思っています。ただビジコンに出ているとか、課題のためにやるということとは違って、好きだから突き詰めていけるというのは、すごく強いと思います。このWake Up Point Shoesの団体も、私たちのバレエ愛だけでここまで突っ走ってきている感じがして、私はこのエネルギー溢れる雰囲気がすごく大好きです。大学であまりやりたいことが無いという人もいると思うのですが、バレエに限らず、身近な何かが自分が取り組むべきテーマに繋がるのではないかなと思うので、突き進んでいける大学生が増えたらなというのが私が思うことです。

私がおすすめするバレエ作品は、マリアネラ・ヌニュスというロイヤル・バレエ団のプリンシパルの方がいるのですが、その方のドンキホーテのキトリが大好きです。バレエってただ美しくて優雅という印象が強いと思うのですが、彼女の踊りは、細部まで女優さんのような、顔の表情からも心の底から楽しんでバレエを踊っているのが伝わってくるものなので、そういう彼女の踊りが大好きで。それこそバレエ愛が溢れているなと感じます。熱いバレエ愛に触れたい方は、ぜひ観てみてほしいです。

Q7. 社会に訴えたいこと、伝えたいことはなんですか?

鈴木さん:まず一つはバレエ社会に対してなのですが、今もバレエ社会はすごくクローズドな感じで、才能ある人だけがダンサーになって、そうでない人は淘汰されてしまうという構造になっていると思います。プロのバレエダンサーにならなかったとしてもバレエ愛は変わらないと思うのですが、バレエから離れてそれがトラウマみたいになってしまう方もいっぱいいるなと、イベントでも感じることがあります。それがもったいないというか、またバレエと関われる機会があれば、そこでバレエが好きな気持ちに正直になって、その人だからこそできるバレエとの関わり方というものを私たちにも教えていただきたいなと思っていますし、ぜひWake Up Point Shoesのコミュニティに参加していただけたら嬉しいなというのが私たちが伝えたいことです。

あとはバレエに限らず、コロナを経て文化は不要不急ということをよく聞くと思うのですが、色んな価値観があり、複雑な世界の構造対立がある中で、文化や美しいものをみた時に人々が感じることは国境を超えているし、共有できるものだと思いますバレエも含めた芸術の美しさを感じられるような、心のゆとりが生まれる社会になったらいいなというのが私が伝えたいことです。

望月さん:バレエをやっている人の中でも対立があって、色んな角度からバレエをより良くしたいという思いが対立しあって悪くなっていく構造があるなと感じています。メソッドの違い、教え方の違い、踊り方の違いなどによって、より良くしたいのに対立してしまうというところをそうならずにやっていけるように、私たちが対話の架け橋になれたらいいなと思っています。

Q8. これからやっていきたいこと、挑戦してみたいことなどがあれば、教えてください!

喫緊の目標としては、コミュニティとしての規模を拡大していくということです。バレエをやっていたとか興味がある人はいつでもウェルカムなので、このバレエ愛の波を広げていきたいなというのが一つの目標です。

あとは大学生のうちに政策提言にチャレンジしてみたいです。日本の議員さんの中でも、香港でプリンシパルダンサーだった方で、議員になった方もいて、その方々が日本議員バレエ団連盟を作っていたり、意外と政治界でも活動している方がいます。政策的にはどういうバレエの見方ができるかなとか、どういうサポートの仕方ができるのかなというのを、もう少し綿密に議論して、その成果として政策提言にもっていきたいというのが、この活動を始めた時に掲げた目標かなと思います。

加えて、今イベントとしてやっている活動を、キャリア・デザイン・ワークショップという形に落とし込んでいきたいと思っています。それはバレエ経験者だけではなく、プロのバレエダンサーになった人が、セカンドキャリアで何をするのかというところも、バレエは問題を抱えています。すごく小さい時からバレエ一筋でやっていると、セカンドキャリアの選択肢の幅が狭くなってしまうということがあって、そういう方々が次のステップとして働けるような場所を考えていく、キャリア・デザイン・ワークショップをやりたいと思います。

あとは、「植物人」というテーマで作品を創作していきたいと思っています。環境意識を作品にしたバレエは少ないと思っています。環境とどう関わっていくかという概念の中に「植物人」というものがあって、人と自然との連帯を形にした概念なのですが、それをテーマとした作品を作りたいと考えています。植物人についての論文もあるので、ぜひ読んでみてほしいです。


ハッシュタグ:#学生団体 #バレエ #ballet # wakeuppointeshoes 

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