生理用品を軽減税率の対象に!ICU卒業生、谷口歩実さんにインタビュー

インタビュー第9弾では、生理用品を軽減税率の対象にし、生理を取り巻くスティグマの払拭を目指して活動を行っている、ID20の谷口歩実さんにインタビューしました!卒業後もSNSなどのプラットフォームを使って活動されている谷口さんがオンライン署名活動を始めたきっかけ、生理について発信する上で感じることや意外な発見、そして生理から考える社会問題など、たくさんお話を伺いました。

*この記事では、便宜上「女性」「男性」という言葉を使っています

Q1. 谷口さんはどのような活動をされていますか?

生理用品を軽減税率対象にする活動を中心に、「生理をみんなで支えることで、すべての人が自分らしく、安心して過ごせる社会」の実現を目指して活動しています。

また、「生理はみんなの問題である」ということと、「生理のあるすべての人が女性ではない、そしてすべての女性に生理があるわけではない」ということを大事に活動しています。

Q2. 具体的にどのような活動なのですか?

主に3つの柱で活動しています。

1つ目は生理に対するスティグマをなくすことです。具体的には、様々な方と生理について語り合う「#みんなの生理オンラインカフェ」を1ヶ月に1回開催したり、その議論をメンバー内で継続してその様子をYouTubeにアップしたりしています。語ることに力があると信じており、これをきっかけにより多くの人に生理について考えていただきたいです。

オンラインカフェの具体的なテーマは、「初潮について」や、「教育と生理(性教育)について」などです。性について話すことがタブーとされているため、生理の症状のステレオタイプが一人歩きしているように感じています。そのため、みんなが同じ症状では無いことを共有し、生理がある人の個人的な不安を解消できるような機会も設けています。

一部イベントをすべての人にオープンにすることによって様々なジェンダーの方が参加してくれて、私自身のジェンダーや世代間の違いに対するステレオタイプが崩されるとても良い機会になっています。50, 60代男性も、これから理解したい、偏見と向き合いたいという方が参加してくださり、「50代の男性だから興味は無いだろう」と推測してしまうのは違うなって反省することもありました。また、生理をオープンにしなくてもいい社会にしたいという意見もいただきました。わざわざ、「生理が辛い」と言わなくても察してくれる社会が実現できるのが本当は理想だな、と気づかされました。

2つ目は生理の実態についての調査です。これはまだ実施していないのですが、例えば生理用品の経済的負担やアクセスについて、災害時の生理用品の扱いについて、まだまだ明らかではない部分が大きいので、地道に調査をしていきたいと思っています。

3つ目は生理に関するケアのアクセスの確保です。この活動の中心となるのは生理用品を軽減税率対象にする活動です。オンライン署名キャンペーンから始まり、署名を届けるべく、様々な議員さんと連絡をとろうとしています。今後は生理に関するケアのより良いアクセスを目指していきます。

Q3. いつから活動を始められたのですか?

卒論を書きながら、生理用品の経済的負担って意外と大きい…と思うようになり、4年生の12月に署名活動を始めました。1人で活動するのは孤独だったので、年明けから仲間を誘い、今の団体「#みんなの生理」は2020年2月頃から始動したと思います。

Q4. 活動を始めようと思ったきっかけを教えてください。

直接的なきっかけは卒論で生理について書いたことですが、そもそも生理に興味を持ったのは、「不平等の人類学研究」という授業で生理のタブーについて学んだことです。その時に、これだ、と思いました。

考えてみれば、私の祖母が貧困によって生理用品へのアクセスに苦しんだことがあることが私の原動力になっていると思います。祖母は学生のときに上京し、お金がない中で生理用品を買う為に次の日の朝ごはんを我慢していました。基本的なケアのために朝ごはんを抜くということが信じられず、ずっと私の心に引っ掛かっていました。

祖母のように生理という身体現象によって大変な思いをする人がいなくなることを信じて活動しています。

Q5. もともとフェミニズムやジェンダー研究に興味を持ち始めたきっかけは何でしたか?

私はテイラー・スウィフトが好きなのですが、ちょうど私が大学に入学する頃に、彼女に対してスラット・シェイミング(性的に期待される行動に背いているとされる人、特に女性を非難する言動)が強まりました。このことがきっかけで、男女間のダブルスタンダードを認識し「おかしい」と思い、大学に入ってジェンダーの勉強を始めました。専攻はジェンダー・セクシュアリティ研究と教育のダブルメジャーでした。

Q6. 活動を始めた時はどんな気分でしたか?

ただただ「子宮を持って産まれてきただけでこんなに負担を強いられるのはおかしい!」という思いで、勢いで始めた部分が大きいです。熱い思いだけで始めたので、今振り返ると具体的な実現方法はあまり考えていなかったなと思います…(笑)

生理用品の軽減税率はそれほど論争になるテーマではないので、比較的バックラッシュが少なく、活動しにくいわけではないです。バックラッシュが来ても、論点がずれているし、それほど気にならないです。

Q7. どんな時にやりがいを感じますか?

「こんなこと考えたことなかった!たしかにおかしいよね!」と賛同してくださった方や「なかなか生理について話すことがないので話せて良かった」と言っていただける方がいるときは、この活動をしていて良かったなと思います。生理は社会で不可視化されている部分が大きく、表立って議論する場面が少ないので、個人の声やニーズが見えにくい現状を少しでも変えられていると実感できて嬉しいです。

年齢層としてはお母さん層や年上の方が多いのですが、若い男性や50代の男性もイベントに参加してくれて、その中には「職場でどう対応すれば良いのか考えたい」という思いや、「生理は男性も一緒に考えるべき問題だと思うので生理についてきちんと知りたい」という思いから参加してくれる人もいます。

「女性の体が課税され続けてる社会の現状に疑問を持つ」という当たり前に感じてきたことに疑問をもって考えるきっかけになれば良いなと思っています。

Q8. 活動したことでわかったこと、気がついたこと、ICU生に知ってほしいことを教えてください。

活動していて分かったことは、活動を始めるときは孤独でも、多くの方が手を差し伸べてくださるということです。「こんなこと考えているのは自分だけかもしれない…」と思って不安になっても、始めたら必ず支援してくれる方がいるので、ぜひ声を上げて欲しいと思います。特に大学生の活動や声は注目してもらえることが大きいです。そしてこういう活動の界隈にはICU生がたくさんいるので(笑)

Q9. アクティビズムを生理に特化することの利点は何ですか?

色んなテーマに関わって活動すると活動範囲は広がりますが、「生理」という1つのテーマでも、社会のあらゆる問題と繋がっている重要な問題なので、結果的にそこから広がっていきます。特化すると、イメージが分かりやすく、生理がいかに重要な問題か訴えやすいです。

Q10. 社会に訴えたいこと、伝えたいことはなんですか?

生理用品の税率を10%から8%に下げたところで、1パックにつき数円しか変わりません。それにどういう意味があるのか、考える必要があると思うんです。生理のある人は自己責任で経済的負担を負うべきだというメッセージはもちろん、そもそも軽減税率対象外になったその経緯(生理を実際に経験したことがある人がその意思決定にどの程度関わったのか?)や、社会の生理や妊娠しうる身体に対する見方(公の場では生理はないものとして個人で処理すべき、生理は労働における”生産性”を落とすからコントロールすべきなど)についても考えるべきだと思います。

身近な問題としてしっかり取り上げ、スティグマを取り除いて正しい認識を広めることで、より良い社会の実現に繋がると思います。だから性教育も大事だと思います。

Q11. コロナ禍の初期頃に生理用品の買い占めが起きてしまいましたが、生理に関する活動をされている谷口さんはこのことについてどのような印象を持たれましたか?

確かに生理用品が品薄になることは良いことではありません。しかし、トイレットペーパーの直後に品薄になったことで、トイレットペーパーと同様に必需品だと多くの人が認識する機会になったという面もあったのかなと思います。

また、社会的に脆弱な立場に立つ人は生理のある人だということも明確になり、特に緊急事態下で脆弱な人をどう守っていくかを考えるのが大事なのだと、改めて認識する機会になりました。

Q12. これからやっていきたいこと、挑戦してみたいことなどがあれば、教えてください!

まだ挑戦の途中ですが、生理用品の軽減税率対象化は実現したいです。他にも、平等なアクセスを実現するために、生理用品が無償で設置されている場所を増やす活動や、生理のスティグマを払拭するためのイベントを行いたいです。野望としては、いつか生理用品が無償で配布されるようになり、生理を社会全体で支えるようになればなと思っています。もしも活動にご興味のあるICU生の方がいらっしゃいましたら、是非お気軽にご連絡ください!

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生理用品を軽減税率の対象に!ICU卒業生、谷口歩実さんにインタビュー” に対して2件のコメントがあります。

  1. 西田省三 男性 72才 より:

    支援金の捻出方法を書き上げました、
    提案書の送り先を教えて下さい!
    ご返信があれば、
    翌日に投函出来ます!
    読売新聞3月24日(水) くらし19面を
    拝読しました。
    よろしくお願い致します。

    1. iconfront より:

      西田省三さま、

      お世話になっております。
      私、ICONfrontの鈴木と申します。

      この度は、#みんなの生理プロジェクト・谷口歩実さんの弊団体のインタビュー記事にコメントをいただき誠にありがとうございました。
      お返事が遅くなってしまい誠に申し訳ございません。

      #みんなの生理プロジェクトへの支援金の捻出方法をご記載の提案書を送付されたいとのことでございましたが、
      #みんなの生理の公式Eメール(minnanoseiri@gmail.com)に直接ご連絡していただきたく存じます。
      お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。

      今後とも、ICONfrontをよろしくお願いいたします。

      ICONfront 鈴木

西田省三 男性 72才 へ返信する コメントをキャンセル

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