日常の中で気になった何気ない一言やジェンダーに関する疑問をSNSで発信! Speak Up ICUの上部華子さんにインタビュー!

今回のインタビューでは、ID20でSpeak Up ICUで活動される上部華子にお話を伺いました!

Speak Up ICUは、ICU生だけではなく学校外の人も対象としてインタビューを行い、それを元に90を超えるジェンダーに関する何気ない、でも気になる一言をSNSを通して発信されています。

今回のインタビューでは、SNSの運営を担当する上部華子さんにSpeak Up ICUに所属しようと思われたきっかけやSNSを運営する上で実は気をつけていること、ジェンダー平等に向けて一人一人ができること、社会に訴えたいことなど、Speak Up ICUの活動内容にとどまらず、上部さんご自身のことからジェンダー平等が達成されていない社会についてまで幅広くお話を伺いました。


Q1. 上部さんはどのような活動をされていますか?

Speak Up ICUという団体のメンバーとして活動しています。

今までSpeak Up ICUとして行ってきた活動としては、街頭インタビューで、皆が日常で持っているジェンダーに関する疑問や、気になった他者からの何気ない一言を聞き取り、それらをSNSを通して発信することです。インタビューは通勤中の社会人が多い新橋駅前や学生の多い吉祥寺などで行います。皆さんに疑問や一言をスケッチブックに書いていただき、その写真を撮ってSNSに掲載 することで、SNSを見た人に、他の人がどのような体験をしているのか知ってもらえるように活動しています。

私がSpeak Up ICUに入ったのは、団体が立ち上がった後のメンバー募集の時、2019年の冬頃です。団体ではSNSの運営を担当しています。

Speak Up ICUは、もともとICUで冬学期に開講されている「音楽マネジメント論」の課題の一環として、2人の先輩が2年前に立ち上げた団体です。その音楽マネジメント論の課題がどのようなものだったかと言うと、 “Socially Engaged Art”(SEA)という手法を実践する課題でした。この手法は、アーティストが主体となり、アートや音楽を通して対話や討論を生み出し、社会的価値観の変革を促すというものです。 Speak Up ICUを立ち上げた先輩のグループでは、ジェンダーをテーマにアートを使ってアプローチをすることを決め、Instagaram等のより多くの人の目に止まるSNSを活用したプロジェクトを行いました。この課題がきっかけでSpeak Up ICUの活動が始まりました。( Speak Up ICUのインスタグラムより抜粋↓)

現在は街頭インタビューの実施が難しいので、オンラインアンケートという形でGoogle formで皆さんの声を募集しています。インタビュー対象も、以前は街行く人に声をかけていましたが、現在は主にICU生が対象です。

Q2. 約2年前に団体のメンバーになったとのことですが、Speak Up ICUのメンバーになろうと思ったきっかけは何かありましたか?

元々Instagramで団体のアカウントをフォローしていたので、団体のことは知っていました。私が大学3年生で留学から帰国し、何か挑戦してみたいと思っていた時に、ちょうどメンバー募集のポストを見つけたのがきっかけです。

またその当時、LUSHでアルバイトを始めた時期だったのですが、LUSHを訪れる多くの顧客はLUSHというブランドに興味がある一方、LUSHが掲げている理念やメッセージに関心があるわけではないことを接客を通して感じました。創設当時からLUSHでは「Fresh Lush Life」という理念のもと「人も動物も地球も、ハッピーで健やかに」というメッセージを発信してきました。フレッシュな原材料を使い、商品が人間以外のすべての生き物に害がない商品作りをしています。またカスタマーとスタッフはどちらの一人の人間として尊重し、その人それぞれが持つ価値観の多様性を重んじるブランドなんです。

自分自身が大学で学んできたジェンダーのことに関しても、自分の中だけで理解を深めるのではなく、外に発信していくことがとても重要であると考えていた時期でもありました。

自分の考えを発信したい、何かに挑戦したいという思いとSpeak Up ICUのメンバー募集のタイミングがマッチして、メンバーになることを決意しました。

Q3. 上部さんは大学でジェンダーを学んでいるとのことですが、もともとジェンダーに興味はあったのですか?

大学入学前は、ジェンダーについて深く考えていたわけではなく、国連で貧困問題解決や教育に携わりたいと考えていました。そこから一転してジェンダーに興味を持つようになったのは、ICUに転入する前に通っていた大学で1年生の時に履修した「ヌードの歴史」の授業がきっかけです。3年時のイギリス留学では、ファッションマーケティングを学ぶ中で、ファッションとジェンダーのつながりについてよく考えていました。

卒業論文では英国のレズビアン小説をジェンダーの視点から研究しています。『ミス・オグルヴィの目覚め』という小説を考察しているのですが、何度も読み返すうちに時代背景などが見えて、とても興味深いです。

Q4. 大学4年間でジェンダーについて多角的に学ばれたとのことですが、実際にSpeak Up ICUで活動を始めた時はどんな気分でしたか?

一言で言うと、そわそわしていました。

ICU生だけでなく社会人にもインタビューするということで、楽しみな面もありつつ、自分が持つジェンダーの知識と、インタビューをする相手が持つ知識にどの程度の差があるのか分からなかったので、どのようにしたら壁を作らず上手く話を聞き出せるかなという思いもありました。

結果的には、私がSpeak Up ICUに所属した冬学期がとても忙しく、またその直後にコロナウイルスが拡大してしまったので、実際に私がインタビューをする機会はなかったのですが、当時はそわそわと楽しみの両方の感情がありました。

Q5. どのような時にやりがいを感じますか?

「いいねの数=共感の数」だと思ってるので、likeがついたりコメントをもらえると単純に嬉しいです!また現在アンケートを募集しているのですが、投稿を見てアンケートを記入してくれる方もいて、それが嬉しいです。

普段の活動をしていると写真を投稿して終わってしまう感覚があるので、本当に届いているのか分からないこともありますが、やはり投稿に対して「いいね」が来るとやりがいを感じます。

Q6.SNSを運営する中で工夫していることはありますか?

スケッチブックに手書きで言葉を書いてもらうスタイルは、団体としても工夫している点です。デジタルの文字よりも手書きであることで、生の声であることを感じやすいと考えているので、今後もそのアナログ感は残していきたいと考えています。

また、写真に写る洋服や手から、ジェンダーを判断されないように気をつけています。場合によっては、スケッチブックに書かれた言葉だけでパッと性別がわかってしまうこともあるのですが、投稿を見た際に「また女子か」など思われたくないので、バイアスがかからないような写真を撮るようにしています。

Q7. SNSを運営する中で立てている目標はありますか?

今後の目標として、まずはSNSのフォロワーを増やせていければと思っています。また団体内のミーティングでは、他のジェンダー系の団体と協働をすることや大学のジェンダー研究センター(CGS)に声をかけてみるなどアイディアは出たのですが、メンバーのキャパシティも限られているのでなかなか今活動が広がっていないのが現状です。ただ今後、試行錯誤をして団体として様々なことに挑戦していきたいと考えています。

Q8. 上部さんにとってアクティビズムとはどのようなものですか?

日本という社会において、アクティビズムはすごく大変なことだと思います。

日本で声を上げると「たかが大学生が」と言われることが多いような気がします。なのでその声に立ち向かわなければならないという点でも大変だと感じますし、アクティビストが行動を取っても、制度や法、現状がなかなか変わらない鈍感な日本においても、アクティビストとして活動することに難しさを感じています。

Q9. これまでもそしてこれからも様々なことに挑戦していきたいとのことですが、今までの活動を通して、わかったことや気がついたことはありますか?

Speak Up ICUの活動を通して強く思うことは、「そんな時代遅れな…」と思うような発言が未だに溢れていることです。そして、発言の中の「主語が大きい」とも感じます。「男は…」とか「若い人は…」など。

私自身は今までの人生の中で「女の子なんだからちゃんとしなさい」と言われたことがないため、あまり男だから、女だからと意識したことはありませんでした。しかしこのSpeak Upの活動を始めてから、差別的な発言を無意識に言ってる人が多くいることを実感し、ジェンダー問題の深刻さを感じました。

また就職活動をしていても、ジェンダー問題について考えることが多いです。面接の中で「どのようなことを大学で勉強していますか」という質問の答えとして、ジェンダーについて学んでいることやSpeak Up ICUの活動について話すと、大抵の場合「最近の流行りだもんね」、「すごいですね」、「それに触れていいのかどうかとても迷いました。」などとても他人行儀な言葉が返ってきました。ICUでは、当たり前のように友達の間でジェンダーの話をすることもあるので、ICU内と社会とのギャップを強く感じました。

Q10.ぜひICU生に知ってほしいことはありますか?

ICU生に知ってほしいことは、社会はまだまだ古いものがたくさん残っていて、簡単には変えられないということと、「たかが大学生、されど大学生」ということです。アクティビストとして活動するなど大きなことではなくても、友達や家族との会話の中で、ジェンダーについて話してみる機会を持つなど、日々の生活の中でも大学生としてできることはあると考えています。

Q11. 社会に訴えたいこと、伝えたいことはありますか?

実際に私が就活をしていて思ったことですが、仕事を通してこんなことをしていきたいと語ると、その企業の人事の方が他人事のような反応をしていたのが印象的です。個人が社会問題解決のために動くよりも企業が制度を一つ変えることや、CMの作り方を一つ変えるだけで大きな影響力があるのに…と歯がゆく思うと同時に、自分が思ってたより、社会がジェンダー課題に関して当事者意識を持っていないことに大きな問題意識を持ちました。

私が伝えたいのはもっと「当事者意識」を持ってほしい、ということです。ジェンダーというとやはり今の流行りみたいなイメージが強くて、コメントする人は意識高い系とか「またか」みたいな反応をされることが多いと思います。ジェンダーに限らず、どんな課題も当事者だけで解決できるものはないし、周りの人や一見関係無さそうな人も本当は全員が当事者の一人だと思っています。

Q12. これからやっていきたいこと、挑戦してみたいことなどがあれば、教えてください!

明確な目標は今ありませんが、もうすぐ卒業なので、大学生と言う立ち位置から社会人に変わっていくけど、働くようになってもアンテナは高く張っていたいし、今のモチベーションを無くさないようにしていきたいです!

[  Speak Up ICU SNS  ]

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