価値あるアイデアを広く共有する―TED Talksを通じたアクティビズムを展開するTEDxICU幹部にインタビュー|Part1
インタビュー第24弾 Part1では、ICU生なら一度は見たことがある、あのTED TalksのイベントをICUで行っているTEDxICUの幹部、小島かれんさん、朝倉凜花さん、山﨑悠夏さんにお話を伺いました。
Part1では、TEDxICUさんの活動内容や団体構成、そして加入のきっかけについてお話しいただきました。
企業への渉外も行うというその本格的な活動や、団体の構成まで詳しくお聞きしたので是非ご覧ください:)
Q1. TEDxICUさんはどのような活動をされていますか?
私たちは、TEDのビジョンである「価値あるアイデアを広く共有する」という理念を追求するべく、スピーチイベントの開催に向けて活動しています。2021年度は「アイデアを表現できる場・インスピレーションを受ける場・新たな行動を起こすきっかけの場」の3つの「場」の創造することをビジョンとして掲げ、活動してきました。現在ビジョンに関しては見直している最中なのですが、TEDxICUは今後も変わらずICUの学生、教員、地域の方々、誰もが参加できるオープンな場を提供することを目指します。そして、イベントを通して得られた気づきが団体の枠を超えて広がり、さらなる発見を生み出すきっかけとなることが私達の望みです。
Q2. TEDxICUの”x(エックス)”にはどのような意味があるのでしょうか。
小島さん 掛けるという意味の数式の”×” ではなく、大元の団体のTED Talksに対して、もう少し小規模のイベントを運営する団体に、この”x(エックス)”がつけられています。
Q3. 具体的にどのような活動なのですか?
年に一度大きなスピーチイベントを主催しています。2021年度にオンラインで行われたメインイベントは、5名のスピーカーと1組のパフォーマーをお招きし、約200名の方々にご視聴いただきました。
___年に一度という少ない回数でイベントを開催している理由はありますか?
朝倉さん TEDxイベントを主催するには、TEDの大元の団体にライセンス、許可をいただく必要があります。この大規模なレギュラーイベントは基本的に年に一度と決まっているので、それに従っている形にはなります。ただ元々大きなイベントでスピーチを作るにあたり、執筆から本番までの過程が6、7ヶ月という長い時間を要します。質の良いスピーチを目指し、スピーカーの方々と共に約1年かけて作っています。今後は、レギュラーイベントに加えて、参加者がよりフラットに対話できる機会を提供するため、小規模のイベントも開催していこうと考えています。
___どのような基準で登壇者を選んでいるのですか?
山﨑さん これから練り直される部分ではあるのですが、昨年でいうと、TED本部の方から渡されている規定と合わせて、TEDxICUのメンバーがこういうスピーチだったら観に来てくださった方々を勇気づけられるのではないかと考えたものを軸に選んでいます。
Q4. TEDxICUはどのように構成されているのですか?
TEDxICUは、3つのチーム(*)とそれらを統括する幹部の構成で運営しています。
*スピーカーチーム:イベントテーマに沿った登壇者を集め、イベント当日まで登壇者とともにスピーチを作り上げていくのが主な仕事です。
スポンサーチーム:TEDxイベント開催に必要な資金を集めるための企業への渉外活動、また団体の会計管理を担当しています。
PRデザインチーム:メンバー募集やイベントの周知など、主にSNSでの広報活動や、ロゴのデザインや動画編集などを担います。
他団体と掛け持ちしてる生徒は多いですが、所属する学生だけでは完結しない団体なので、責任感、そして仕事へのコミットはしっかりと求められます。
___なぜそのようなチーム分けを行うことにしたのですか?
山﨑さん 元々TEDxICUのような団体が全国に存在していて、そこからインスピレーションを受けました。団体を立ち上げるにあたって、まずイベントを開催するのに必要な業務を割り出し、それらをうまく進めていくために、チーム分けをすることにしました。
___実際のイベント当日はどのような役割分担を行っているのですか?
山﨑さん イベント当日は、チームはあまり関係なく動く体制になっていました。。収録日は、PRチームは動画収録や、SNSに載せるための写真撮影、スピーカーチームは登壇者の方々の対応、サポートに当たりました。スポンサーチームに関しては、決まってやることは特になかったため、消毒の準備や、スピーカーの方が事前に待機する部屋の準備などを役割分担しながらやっていました。
___一つのイベントを実施するのにどのくらいの企業へ渉外をし、どのくらいの企業さんが実際にファンドしてくださることになるのですか?
朝倉さん 2021度は再立ち上げをした年なので、イベントでステージに置くロゴ等の作成があり、費用/予算が多くかかってしまいましたが、通常イベントを開催するにあたり15〜20万円ほどかかります。今年度は約40社くらいの企業にメールでアポイントメントを取りましたが、返信が来るところと来ないところとまちまちでした。返事をいただいた際には、zoomを通じて活動内容を説明し、承認していただきました。昨年は結果的に、3企業と1団体に協賛していただくことになりました。イベント後は報告書を作成してスポンサーの方に送り、信頼関係を築くように努めています。
Q5. いつから活動を始められたのですか?
TEDxICU再始動のスタート時期は、2021年4月でした。TEDxICUという団体が以前までICUのサークルとして存在していたのですが、さまざまな理由があり活動が休止になっていました。そこで、もともとTEDxICUに興味があった小島・朝倉・山﨑の3人で、TEDx団体を運営する基本的な情報を調べ上げるところから始め、初期メンバーを募集し、2021年の10月からはさらに新メンバーを迎え入れて本格的に始動しました。
Q6. それぞれの活動を始めようと思ったきっかけを教えてください。
小島さん 私は高校3年間、TEDxYouth@Tokyo(高校生が中心となってTEDxイベントを運営する団体)に所属していました。ここでの活動がとても楽しくて、大学生になっても続けるつもりだったのですが、TEDxICUは数年前から活動休止の状態でした。コロナ禍の入学も重なり、特に充実した大学生活を送れずにいてとても歯痒い気持ちでしたが、自分の「やりたい」気持ちと行動力を大切にして、他の2人と活動を再開させることを決意しました。ICUには “worth spreading”なアイデアや意見、そしてストーリーを持つ学生がたくさんいるにも関わらず、それをスピーチとして自分の言葉で発信する機会はなかったので、必ずTEDxICUは意義あるコミュニティになると確信していました。
___TEDxYouth@Tokyoでの活動とTEDx ICUでの活動はどのように異なりますか?
小島さん 高校3年間所属していたTEDxYouth@Tokyoは、ほとんどTEDxICUと大きな違いはありません。友達が所属していたこともあり、今と同じようにTEDxのイベントの開催に向けて運営に関わっていました。違いを考えた時に思い浮かぶこととしては、TEDxYouth@Tokyoは、色々な学校の高校生が集まっている一方で、TEDxICUでは、ICUの学生が集まっていて、ICU生が集まっているからこそ出せる色や、スピーチの魅力というのはすごくあると思います。リベラルアーツで、クリティカルシンキングや、ディスカッションにすごく重きをおいている大学だからこそ、それに興味を持っている学生や先生も多いので、特にTEDxICUは、何かについて批判的に考えたり、色々な人と様々な考えを共有したり、対話したりという部分において、他の団体にはない大きな魅力があると感じています。
朝倉さん 高校生の時にTEDxYouth@Tokyoで活動している知り合いがいて、とても充実してそうで憧れていました。そのため元々ICUに入学したらTEDxICUに入ると決めていました。でも蓋を開けてみるとTEDxICUは活動休止の状態で1年生の時は諦めていました。2021年4月に他の2人がTEDxICU再立ち上げの話をしていてその場で自分も関わることを決めました。多様な活動をしている人が多いICUだからこそ、みんなの”idea”を”spread”していくTEDは大きな意味を持つと思いました。
___この活動を始める前から皆さんお知り合いだったのですか?
朝倉さん 私とゆか(山崎さん)は、1年生の時にサービス・ラーニングで1年間一緒に活動していて、かれん(小島さん)とは、直接的に話したことはあまりなかったのですが、共通の知り合いがいたため、挨拶程度には話したことがありました。かれんがゆかにTEDxICU再立ち上げの話をした時に、ゆかが、私が1年生の時にTEDxICUに入りたいと言っていたのを思い出してくれて、声をかけてくれました。
山﨑さん かれんが一番最初にTEDxICUを再始動したいという話を持ちかけてくれました。そのときに、焦燥感を与えることなく、ただただ話を聞いて前を進む勇気をもらえるような場を作りたいなと思い活動を始めようと思いました。
___焦燥感を与えることなくというのは具体的にどういう意味でしょうか?
山﨑さん 私たちがTEDxICUを始動したタイミングが一番新型コロナウイルスが広がった時期だったと思うのですが、そこで家に居る時間が長くなった分、家の中でできることをしようと思い、イベントに出たりしていました。その時に、私もこういうことがやってみたいという前向きな部分がありつつも、それと同時に焦る気持ちが、すごく自分の中にあって、その焦燥感は他の方も感じているのではないかと思いました。もちろん焦るということは前に進む上で原動力になる部分だとは思ったのですが、コロナ禍で家にいながらその焦りを1人で抱き続けるのは精神的にきつい部分もあると感じたので、私たちが作る場所は、そういうふうなものではなくて、暖かくて、みんなのありのままを受け入れて、少し後押しできるような場所であってほしいなと思っていました。
Q7. 始めた時はどんな気分でしたか?
小島さん 始めた時は、正直イベントを開催、ましては成功させることなど不可能だと思っていました。引き継ぎできるような資料や情報がほぼない状態だったので、全て調べ上げたり、幹部3人でどうするか話し合いを重ねました。団体の立ち上げに関わったこと自体初めてだったので、楽しいという気持ちもありましたが、本当にTEDxICUを実現できるのか、分からず不安な気持ちもありました。
___以前にあったTEDxICUとのコネクションはあまりなかったということですか?
小島さん 引き継げるものがない以前に、どの先輩が所属していたのかもはっきり分からない状態でした。そのような背景もあって、先輩とコンタクトをとることが上手くいかず、結局引き継がれた資料は一つもなかったです。なので、ひたすら自分たちで、過去のTEDxICUの体制や今までのスポンサーなどを残っていたウェブサイトなどから調べ上げたり、私がTEDxYouth@Tokyoに所属していた時の資料を見たり、他大学でTEDxイベントを行っている方に助けを求める形で情報提供をしていただいたりしました。
朝倉さん どのくらいの規模の団体になるのか、本当に2021年度中にイベントを開催することができるのかも全く分かりませんでした。4月から7月ぐらいまではほぼ3人のみで団体の基盤作りをしていて、とりあえずその時にできることを淡々とこなしていくという感じでした。もちろん不安な気持ちもありましたが、ワクワク、楽しみな気持ちも同時にあって、不思議な感覚でした。
___そのような手探りの状態でも根気強くできた原動力は何かありましたか?
朝倉さん 本当にこのまま、1月にイベントを開催するってなった時に、どうなるのだろう、できるのかなという不安はずっとありました。その状況の中でも、自分がTEDxICUをずっとやりたかったという思いと、先ほどかれんも話した通り、このコミュニティがすごく大きな意義を持っていて、その意義に関しては自分も確信があったので、実際にやろうという強い気持ちを保つことができました。ただ、その気持ちを上回るというか、実際に自分がイベントをやっていく、さらにそのイベントを成功させなきゃと思った瞬間は、10月に新しくメンバーが入ってきてくれた時です。一人一人がTEDxICUで成し遂げたい夢や強い意志を持って入ってきてくれて、そういう人たちがいる中で、このTEDxICUを実現しないわけにはいかないというのは責任感として強く感じました。そこで改めて自分の幹部という立場を実感しましたし、TEDxICUのイベントを必ず成功に導かなければならない、それが自分たちが始めた責任で、役割なのだと感じ、そこから一気にイベント開催まで進んでいったという感じでした。
山﨑さん 1からすべてを始めなければならなかったため、何から始めたらいいのかわからないという混乱が一番大きかったように感じます。ただ、かれんとりかの二人がいたおかげで、焦らず一つづつ問題を解決していこう、という気持ちに持っていくことができました。
[TEDxICUのウェブサイト、SNSアカウント]
ウェブサイト:https://www.tedxicu.org/
Instagramアカウント:@tedxicu.official
Twitterアカウント:@TEDxICU
Facebookアカウント:https://www.facebook.com/TEDxICU-2021-102302372263254/
Part1はいかがでしたでしょうか。Part2では、活動をする上でのやりがい、活動に対しての想いなどについてお話しいただきました。
Part2もお楽しみに!
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