大学生が古着を売る理由―フリマ運営団体own!tのID23植村ほとりさんにインタビュー|Part2
インタビュー第20弾Part 2では、前回に引き続き、2020年3月からフリマの運営やポッドキャストの発信などを行っている団体own!tの植村ほとりさんに、お話をお伺いしました。
Part 1では、団体設立のきっかけやサービスラーニングでの気付き、団体の運営で苦労したことなどについてお話していただきました。
今回のPart 2では、活動のやりがい、インスタグラムとポッドキャストを運営する際のこだわり、そして高校3年間のオーストラリア留学から学んだ将来の生き方についてお聞きしました。
映画やドラマが好きな植村さんが最近観た、ICU生におすすめの映画もお聞きしたので、ぜひお読みください!
ーー SNSではポジティビティを提供する活動をしているということですが、具体的にどのような内容なんですか?
最初にインスタでやった企画が、自分のクローゼットのお気に入りの物を紹介するものでした。そういうのは、雑誌とか、モデルさんがやってるイメージだと思うんです。でも、友達とか、少し身近なICU生、同じ学生が一つのアカウントで発信してると、「この人はこういうの好きなんだ」とか、「自分と一緒だ」とか、違う発見があります。私たちメンバーだけじゃなくて、フォロワーさんとかにも協力してもらうことによって、投稿を楽しみに待っている人もいます。
余裕があるからこそ思えることかもしれないけど、いろんな人の好きを知るって、自分の好きを見つめ直すきっかけにもなると思うんです。だから、そういう時間が1日の中で2分でも作れたらと思ってます。メンバーが発信することだけを見るんじゃなくて、自分も加わったって感じてもらえるほうが、ちょっとだけ達成感があるかなって思うので、いっぱいフォロワーさんを巻き込んでいくために、初めてやった企画がこれです。
ーー インスタとフリマに加えて、なぜポッドキャストという音の媒体を始めたんですか?
SNSでは、メンタルヘルスやポジティビティ、自分たちが日々思ってることを伝えています。でも、インスタだと、画像で体型や見た目を比較しちゃう部分がすごい多いと思うんです。画像だけ見ていいねして、キャプションを読む人って少ないのかなと思ってます。でも、私たちが伝えたいことってキャプションにあったりもするので、移動時間に音だけで聞いてもらえる何かを出来たらと思った時に、ポッドキャストを始めてみようとなり、すぐにメンバーを集めて撮りました。
毎回台本も編集もなくて、一発録りなんです。かしこまって聞くんじゃなくて、何人かの同じ年代の子達の日々の会話を盗み聞きしてるみたいな感覚で聞いてもらえたらなと思ってます。
ーー フォロワーさんが投稿を楽しみにしていらっしゃったり、第一回のフリマも大成功とおっしゃっていましたが、活動の中で、どういうときにやりがいを感じますか?
例えば授業のグループディスカッションとかで一緒になった、全く知らない人に「あ、own!tの人ですよね、実は投稿を見てます。」みたいなことを言ってもらえると、すごい嬉しいです。自分が知らない人、いろんな人に伝わってるんだなっていうことを実感できて、すごい嬉しいし、モチベーションになるねってよくメンバーでも言ってます。
ーー アクティビズムは大変、コミットしないといけないというイメージがありますが、学業やアルバイトとどう両立していますか。
活動は不定期ですが、時間があくとメンバーのモチベーションが下がるし、見てくれている人も飽きたり忘れたりしちゃうので、1ヶ月に1回は何か絶対にしたいなと思ってます。バイトの休憩時間や電車に乗っている移動時間など、暇な時に次に何をするか考えます。何も活動してない時はown!tのLINEのグループも全く動かないんですけど、ちょっと動かして、みんなにそろそろ何かしようというのをじらつかせたり、という工夫は日々するようにしています。でも、自分の空き時間にやっているので、本当にゆるいです(笑)
ーー 活動を通して分かったことや気付いたこと、ICU生に知ってほしいことはありますか。
みんなどこか着飾って、周りが好む自分でいようとすると思うんですけど、そうすると、自分がなりたい自分より、周りが求める自分になり続けてしまうのかなと思います。特に就活で、本当に自分が就きたい職を見つけることはもちろん大変ですが、ICUを卒業するなら将来は世界から必要とされる人にならないといけないという期待とか、周りが求める自分になっちゃうことはすごく多いと思います。でも、やっぱり自分の人生じゃないですか。コロナなどで今は色々自由が利かない時期かもしれないですが、そこを忘れずに、やりたいことに正直に進んで欲しいし、見つかるといいなと思います。
また、やりたいことを叶えるためには、やらないといけないこともあると思います。やらないといけないことをある程度こなしていれば、明るい未来は待ってるなと自分の経験から思うので、諦めずに自分の気持ちを信じる人が増えてほしいです。
私たちの将来は自分で決めるべきだし、ワクワクな未来が待っているにきまってる!
ーー すごく素敵ですね。そのような考えに至ったのは、植村さんご自身の経験が関係していますか。
私は小学2年生から中学3年生まで、ずっとソフトテニスをやっていて、結構成績も残していました。高校もテニスで行く予定だったけど、中学の引退時の最後の試合で今まで勝ったことのない相手に勝つことができて、完全燃焼してしまい、もうテニスいいやと思ったんです。でも、いざそうなったときに、自分には何も残ってないなと思って。テニス以外やってきたことはないし、テニスで高校行かなかったらどこの高校に行こう、これから何をやっていこうとなりました。
その時、ちょうど兄がオーストラリアに高校留学していました。絶対に兄と同じ道は選びたくないと言っていたんですけど、海外には興味があったので、結局高校1年生から3年9か月くらい1人でオーストラリアのサンシャインコーストに留学しました。その時は中学の英語レベルで行ったので、すごく悲惨でした(笑)でも兄を見ながら、自分も頑張ればいつか絶対友達が出来て楽しくなれると考えて、一生懸命英語を勉強しました。今でも連絡をとる友達に出会えて、すごく素敵な思い出がいっぱいあります。
やらないといけないこと、やりたくないこともあるかもしれないし、色々な困難もあるけど、留学を決めたのは自分だし、ある程度頑張れば先は明るい。中学の先生とか一緒にテニスをしてた子は、私が絶対テニスで高校行った方がいいと思ってたと思うんですけど、自分の気持ちを信じて動いたことによって、今ICUにも来れたと思うので、この選択をしてよかったなと思います。そのようなことがあって、ゴールに期限はないし、頑張れば先は明るいという考え方になれたのかなと思います。
ーー ICU2年生の3月に活動を始められたということですが、大学生がアクティビズムを行ったり社会問題に向き合ったりすることに、どのような重要性があると思いますか。
大学生がアクティビズムをやることによって、色んな人を巻き込みやすいのかなと思います。会社などの大きい組織が大きい広告を使ってやることは、もちろん影響力はすごくあると思います。でも、身近な人がやっていることによって、その人が何をしてるかに興味を持ったりするし、身近な人へのアプローチがしやすい点では、大学生がやることに意味があると思います。
アクティビストも、もちろん社会貢献したいという観点もあると思いますが、4,5割くらいは自分の考え方を育成するとか、結構自分のためだったりするんですね。「意識高い」というイメージを持たれがちだし、実際にそうなのかもしれないけど、そうではないこともあるじゃないですか。そんなことも、身近な人に知ってもらいたいですね。
ーー 自分自身が成長することもアクティビズムの醍醐味ですね。植村さんも1年以上活動を続けるなかで、考え方や将来のビジョンが変わったと思いますか。
大学1年生の時は、ガクセイ基地という違う団体に入っていました。その時は、今みたいにメンタルヘルスと環境について活動したいという考えはなかったですね。当時は、ただただ社会貢献している自分に酔っていた面があったし、実際に自分のやりたいことが全然分からない状況でした。ガクセイ基地を通して色々な人に出会ったことで今があるのかもしれないですけど、軸がない状態で活動していました。それに対して、own!tで色々やっていくことで、これから自分がやりたいことや、価値観が培われて、元々持っていた軸が強化されたのかなと思います。
将来は、直接的に人と関わるというよりは、間接的に人の生活に触れたいと思っています。私はドラマや映画がすごく好きなんですけど、そこに出てくるセリフや登場人物の価値観、脚本家さんのメッセージなどが、自分の人生において大切であることがすごく多く、それに支えられて生きている部分があります。ちょっとした嫌なことがあった、でも何かがきっかけで少し心救われた、たまたま見た作品に出でてきた言葉で気持ちが軽くなった。私も、そういう「ちょっとした何か」を誰かに届けられたらな、とか思ったりします(笑)自分を取り巻く「環境」は、色々な面で私たちを形成してると思います。将来は、街づくりや映画・ドラマ制作などに携わって、メンタルヘルスなどに間接的に繋げられたらなと思ってます。
ーー ポッドキャストの方でも映画やドラマが好きとおっしゃっていましたね。最近観たおすすめの映画やドラマを教えてください。
最近観たものだと、『あのこは貴族』という映画がすごくよかったです。特にICU生には観てほしいですね(笑)主人公の女の子がすごくお金持ちの貴族の子で、その子は慶応義塾大学に行っているんですが、家庭が経済的に恵まれてないけど頑張って勉強して慶応に来た子とか、色々な子と出会っていくなかで、自分が持っていた苦しさを解決していく話です。格差社会の話も描かれていて面白いです。「バイブスの壁」についてのお話だったりするんですけど、そう育てられて生きてきたことを否定するのではなく、それぞれが抱える生きにくさを受け入れ、寄り添いながら進んでいく感じがいいなと思います。
ーー 最後に、これからやっていきたいこと、挑戦してみたいことなどがあれば、教えてください。
もっとたくさんのフォロワーさんを巻き込んだ企画をしたいです!今はSNSでしかできてないですけど、対面でown!tだけでフリマなどをする時に、何か一緒にできる企画をしたいと思ってます。また、ポッドキャストは今メンバーだけでしか撮ってないですが、フォロワーさんやゲストを迎えて撮っていきたいです。
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